隼ってどんなバイク?
隼に乗り始めてそろそろ2年が経ちますそこで、改めて隼はどういうバイクか考えてみようと思いました。
隼はSUZUKIの初代(GSX1300R)が1999年に発売され当時の量産市販車で世界最速であったホンダ・CBR1100XXスーパーブラックバードの最高速(約300km/h)を大幅に上回る312km/hを記録し20世紀の世界最速の市販車となったバイクです。
2008年にフルモデルチェンジした2代目が私の乗るモデルですが、先代のSSチックなフォルムからより躍動感のあるフォルムに進化しました。
隼の特徴はなんといってもその300km/hに達する最高速度で、それを実現するパワーと、高い直進安定性、空力特性を備えています。
2001年に規制によりそれ以降に製造された車両はリミッターが付いてメーターも300km/hまでは刻まれていませんが、それでも300km/h以上の速度域を想定して開発されたバイクということに変わりはなく、大柄な車体やそれを包みこむフルカウルは優れた直進安定性と空力特性を実現させる機能美といえるものでしょう。
以下、はそんな隼を二年でおよそ6000マイル(約9600km)乗った私が感じた長所、短所をまとめてみようと思います。
※私の隼は北米仕様のためオドメーター及びトリップメーターはマイル表記となります。(1マイルはおよそ1.6km)
速度計に関しては、マイル表記の内側にkm/hの目盛りも刻まれているのでうっかり日本の法定速度を逸脱した速度を出してしまったなんてこのがないように…
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長所と短所
隼の特徴を長所と短所に分けて箇条書きにしてみます。
長所
私がおよそ2年間隼に乗っていて感じた隼の長所は以下の通りです。
1.圧倒的な動力性能
隼のパワーとトルクは日本の道路事情を考えると完全にオーバースペックですが、高回転域から唐突に炸裂するようなピーキーさは一切なくむしろフラットそのものです。そのため実用的な速度域でも頼もしいものです、高速道路での合流や追い越しといった場面でも余裕を持って速度を合わせることができます。
2.意外と燃費が良い
総排気量1339cc、最高出力197馬力を誇る隼ですが、燃費は街乗りで16〜18km/L、高速道路では20km/Lを超えることもあります。
隼は低速から非常に力強くエンジン回転数やアクセル開度を抑えても十分に車の流れに乗ることが可能です。
3.程よい前傾姿勢
隼はツアラーとしても優秀ですがライディングポジションは比較的前傾姿勢になるスポーティーな感じになります。(SSほどハンドルは低くないけど遠い)
ワインディングロード(峠)を通過する際にもその連続カーブを楽しむにはちょうどいいポジションに感じます。
私は隼の前にレーサーレプリカのGSX-R750に乗っていましたが、ポジションとしては似通った感じなので違和感はあまり感じませんでした。※スポーツバイクに不慣れな方にはきつく感じてしまうかも知れません。
4.大柄な車体がもたらす安定感
大きな車体のどっしりとした安定感は非頼もしい限りです。隼がスポーツバイクとしては重く大きな車体を持つ理由は高速域での安定性を確保するためのものですが、それはツーリングでの快適性や安心感にもつながります。路面の細かいギャップや多少の横風であればそれほど気にはなりませんし、タンデムシートも大きめで座り心地のよいものが備えられているので、タンデムをする際や大きめのシートバッグ等荷物を載せて走行する際にも安定した走行が可能です。
隼に大きなパニアケースを取り付けている方も良くみますが、積載量を増やしロングツーリングをしたくなるのも頷けます。
5.大きなカウルによる防風性
隼の特徴的なフォルムを形成する大きなカウル、高い最高速度を実現するためのものですがそれと同時にライダーを走行風から守るウインドプロテクション効果(防風性)も高いのです。
長距離を走る際、特に高速道路等で走行風に長時間晒されることは思いのほかライダーの体力を奪っていくものです、高い防風性を誇る隼であればそういった負担を大きく軽減してくれます。
巡行速度によりますが、前述の程よく前傾姿勢となるライディングポジションと相まって小雨程度であればほとんど濡れずに済むほどです。
6.動き出してしまえば軽快
隼の総重量266kgの巨体ですが、スポーツバイクとしての素性は確かなものです。癖のないハンドリング性能で狭いワインディングロードを通過する際にもその道路のリズムを楽しむことができます。
7.フラッグシップモデルの所有感
隼は2008年にフルモデルチェンジしてから生産終了になるまでに2013年にABSが追加される以外に特にスペックの変更はありませんでした。そのため後発のライバルであるkawasakiのZX-14Rやスパーチャージャー付きのH2シリーズ、200馬力級ばかりの各社リッターSSなどが存在する現在では、単純な性能比較では特別秀でたものでもないかも知れませんが、その存在感やネームバリューは健在です。
短所
隼はスペックや見かけによらず扱いやすいバイクですが、以下のような部分か短所ではないかと感じています。
1.取り回しがきつい
走り出してしまえば軽快そのものの隼ですが、止まっている時は266kg重さを直に感じます。また車体構成もスポーツバイクよりで重心が高めでハンドルも低いので取り回しは難しいと思います。
私は身長174cm体重75kgですが納車直後は「なんでこんなデカイ単車買っちまったんだ…」と少し後悔しました。
隼の購入を考える上でネックとなる部分はここかもしれません。
2.立ちごけが大ダメージ
車体が重いということはそのまま転倒時のダメージの大きさにつながります。特に隼のようなフルカウル車でカウルを大きく損傷してしまった場合は修理代も高くなります。
3.タイヤの減りが早い
重さとパワーはそのままタイヤの負担となります、新車時についていたタイヤは5000kmほどで前後ともスリップサインが出てしまいました。
4.熱い
これは隼に限らず大型バイク共通の問題点ですが、大排気量エンジンから放出される熱気は相当なものです。とくに夏場は革製のライディングパンツをはいていないとフレームから伝わってくる熱でやけどしそうなくらいです。
5.メーターがマイル表記
これは輸出先によって仕様が異なるのですが、私の隼は北米仕様なので速度計、トリップメーター、オドメーターがマイル表記になるので燃費計算などの際は馴染みの深いメートル方に置き換えるのが少し面倒です。
6.他人と被る
これは人気のある証拠なので仕方のないことですが、週末の道の駅やサービスエリア、バイク用品店ではよく見かけます。私は元々マイナー車や旧車に乗っていたのでこれは新鮮でした。
人とは違ったバイクに乗りたい方には向かないかも知れません。
まとめ
隼の特徴を箇条書きにしましたが、以下にまとめてみます。
重ささえ手なずけてしまえば最高のバイク
かつての世界最速である隼も現在となっては特別秀でたバイクではないのかも知れませんがいまだに根強い人気のあるバイクです。
隼はその重ささえ気にならなければ非常に乗りやすく頼もしい懐の深いバイクです。実際に所有してみてその完成度の高さに驚きました。
街乗りからツーリング、スポーツライディングといった幅広いシチュエーションで存分に実力を発揮してくれることでしょう。
一台で幅広い用途に対応する万能なスポーツバイクが乗りたいというライダーにお勧めです。
現在日本国内で新車を購入することはできませんが、販売台数が多く中古市場は潤っているので程度の良い車両を購入するチャンスはまだまだあると思います。
隼というバイクに興味を持って頂ければと思います。
乗りやすいが初心者に対して安易にお勧めはできはない
隼は完成度が高く乗りやすいバイクではありますが、そうは言っても最高出力197馬力、総重量266kgの怪物であることは間違いありません。大型バイクが難しいとされる理由は「大きく、重く、速い」からだと私は考えますが、隼はそのすべてを高いレベルで満たしています。
隼の最大の良さはスペックや見た目に反した乗りやすさではありますが、それ故にバイク歴の浅い初心者の方がいきなり乗ってしまのは少々危険かもしれません。これは初心者の運転技術が低いというよりは「自分の限界が掴めていない」ことが多いからです。運転技術の高さにかかわらずある程度長い運転歴のあるライダーであれば、自分のバイクを運転する上での技術的な限界と体力的な限界を感覚的に把握しているものです。
経験が浅い場合はそういった部分を把握しきれておらずに気が付かぬうちについ無理をしてしまうこともあります、これが小排気量クラスの小さくて非力なバイクであればまだしも(それでも十分危険)隼のようなリッターオーバークラスになると大変危険なことになります。優れた道具を持つとその力を使ってみたくなってしまうものですが、その力を扱いきれなかった際には自分に跳ね返ってきます。まずはもっと軽くて扱いやすいバイクから乗り始めることをお勧めします。
最後に
今回は私の乗っているバイクについて書いてみましたが、隼に限らず初心者がいきなり大型バイクに乗ることに関して賛否両論あります。好きなバイクに乗るのが一番という声もあれば、まずは小排気量で経験を積みステップアップするのが確実といった声もあります。
私としてはどちらの言い分もわかるのでこの話については↓の別記事に書いてみました。こちらも読んでいただけると嬉しいです。
【バイク】初心者がいきなり大型バイクは危険?ステップアップが理想?【排気量】
今回は以上となります。ありがとうございました。